去年の台風(2018年9月)のあと初めて訪問するので、5月以上ぶりか。
事務所から「花と緑の相談所」の建物までの途中、ヒツジ小屋を過ぎてすぐのコナラの林。いつもより景色が明るい。もともと落葉樹なので冬、この時期は葉のない枝が寒々と広がっていたが、今回はそんな枝の障害物もなく光が注ぐ。
| コナラはドングリのなる代表的な木 |
| 以前は薪に使ったり、炭を焼いたり。 |
園芸相談の最終盤、もうすぐ4時半を過ぎる。50代後半か60代前半ぐらいの男の人が相談にやってきた。
「乾燥が上手くできて、造作しやすい木は何ですか?」という問。木に彫刻をするか、何かオブジェのような細工をしたい旨、相談。「大泉緑地のあちこち折れている木でどれが適当ですか?」と続ける。
「何とか、その折れたり、抜けたりした木を利用できないものか?」と尋ねる。40年、50年かけて大きくなったその木がまるで不用品のゴミのように片づけられるのが、何か「納得行かない」と話す。
もう少し話を聞く。
自分の家の近く、大阪府立大学の構内もそんな木がいっぱいだと言う。
その木が大きく育ってきた年輪、年月に込められた想い、それらが捨てられていることに納得がいかないと、きゅっと顔を歪めて悔しそうに話す。
木が年月を経て育ち、そしていつか朽ち果てることと、それを人間が利用することは本来関係はない。ただ、それを上手に利用出来たら、それはいいことかもしれないし、そうしてきた時代もある。
コナラの折れた足下にどんぐりが芽生え、見上げれば、これまでは見ることのなかった青い空に雲が浮かんでいる。
★コナラ(ブナ科)
Quercus serrata 分布 日本、朝鮮半島、中国
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